ベンディングロール加工では、スプリングバックを考慮しないと加工精度が低下する恐れがあります。本記事では、発生する原因や戻り量に影響する要因、精度を安定させるための対策を分かりやすくまとめています。
スプリングバックとは、曲げ加工後に板金素材が元の形状に戻ろうとする現象のことです。金属は加工中に塑性変形と弾性変形の両方を受けており、加圧を解除すると弾性分だけ形状が戻ってしまいます。この戻り量を見越さずに加工すると、狙い通りの曲げ角度やRに仕上がりません。
ベンディングロールの場合、円筒曲げでは真円度の低下、円錐曲げでは角度のずれといった形で不良が現れます。スプリングバックの量を予測し、あらかじめ強めに曲げておくことが、安定した仕上がりの基本です。
スプリングバックの大きさは、材質によって大きく変わります。特に降伏点や引張強さが高い材料ほど、戻り量が大きくなる傾向があるので要注意です。ステンレスや高張力鋼板(ハイテン材)が代表的な例で、同じ形状に曲げても軟鋼より大きく戻ってしまいます。
加工前には、材料メーカーが公表する機械的性質を確認したうえで加工条件を組み立てるようにしましょう。
同じ材質でも、板厚に対して曲げ半径が大きいほどスプリングバックは顕著になります。薄板で大きなRを狙う加工では特に戻り量が読みにくく、試作の段階で入念な確認が必要です。
厚板の場合は塑性変形の割合が高くなるため戻りは小さめですが、必要な加圧力が大きくなるので、設備の能力とのバランスもチェックしてください。
加圧が不足していると、素材への塑性変形が浅くなり、戻り量が大きくなってしまいます。一方で送り速度が速すぎる場合も、局所的な変形にとどまり狙った形状が出にくいものです。加圧力と送り速度は、材料・板厚・目標形状に合わせて調整することが大切。作業者の勘だけに頼らず、条件をデータとして残しておくと再現性が高まります。
もっとも基本的な対策は、戻り量を見越して目標より深めに曲げるオーバーベンドです。材質・板厚・曲げRごとの戻り量を把握し、その分だけ加圧を強めに設定するのが基本になります。試作段階で戻り量を計測し、社内で条件表を整備しておけば、次回以降の立ち上げもスムーズでしょう。
一度に大きな曲げを加えようとすると、加工硬化やスリップの影響も重なり、戻り量が読みにくくなってしまうものです。目標形状まで少しずつロールを送りながら段階的に曲げていくと、戻り量が安定しやすくなります。真円度が求められる円筒曲げでは、周回を分けて少しずつ曲げていく手順が一般的です。
板の端部はロールに挟まらない範囲があるため、どうしても曲げ不足になりがちです。端曲げが不十分なまま本曲げに進むと、円筒に直線部が残り真円度が悪化してしまいます。プレスや専用の端曲げ機能を使い、端部までしっかり曲げておくと、後工程での補正が最小限で済みます。
加工硬化が進んだ材料や、圧延方向・熱処理履歴にばらつきがある材料は、スプリングバックが安定しません。材料ロットごとの機械的性質を把握し、必要に応じて焼鈍などの前処理を検討してみましょう。歩留まりの改善にもつながります。
CNCベンディングロールは、リアルタイムに位置と加圧を制御しながら、あらかじめ設定した戻り量分だけ深く曲げる補正が可能です。材料や板厚ごとの補正パラメータを蓄積していけば、作業者の経験に依存しない安定した加工を実現できるでしょう。多品種少量の現場ほど効果を発揮します。
スプリングバックはベンディングロール加工では避けられない現象ですが、材質・板厚・曲げRから戻り量を予測し、オーバーベンドや工程分割で吸収するのが基本です。加工条件を社内で蓄積していくことが、安定した品質確保への近道になります。
戻り量が大きく安定しない、既存機の性能に限界を感じるといった場合は、CNC制御の導入や設備の更新も選択肢に入れて検討してみてください。
曲げ加工は、板厚・材質・曲げ形状によって、ロール構成や駆動方式、制御性能に求められる仕様が異なります。そのため、ベンディングロールの導入では、加工する板の厚みや形状など、曲げたい部品に応じて選定することがポイントです。ここでは、加工対象別に3つのメーカーをご紹介しています。

小型製品の加工に適した80mm〜100mmのロール径です。油圧式による安定した加圧制御で圧力調整がしやすく、押し傷や曲げムラを抑えて外観品質の高い成形が行えます。
下ロールにウレタンを使用しており、柔らかな表面でワークに傷がつくのを防ぎます。特にステンレスなど、傷が目立ちやすい薄板素材を扱う加工におすすめです。

熟練の技を再現する高度なCNC自動制御により、円錐や多段曲げなどの複雑な形状も自動化。作業者のスキルに依存せず、常に均一で高精度な仕上がりを維持し、生産効率の大幅な向上に貢献します。
特許取得のワーク接触方式※とインバータ制御、さらにロールたわみ補正機能が、多段曲げでも端部のズレを抑えます。圧倒的な寸法精度と真円度を一発で実現し、手直しや再加工の工数を激減させます。

DAVIの3ロール式可変軸ロールベンダーは、大型・高負荷に対応する複数ギアの駆動システムを搭載。重い負荷をかけても安定した動作が可能で、300mmの特大サイズの部品も加工できます。
頑丈なフレーム構造により、大型・特注形状のプレートや高強度鋼板にも対応可能。高い耐久性が求められる石油・ガス業界での導入実績もあり、高強度な金属部品の加工ニーズに応えます。