曲げ加工・メーカーの選び方を解説|ベンディングロール大全

ステンレス製品

ベンディングロールで製作される主なステンレス製品

ホッパー(薄板板金)

ホッパー(薄板板金)
引用元HP:協和工業
(https://kyowa-i.co.jp/prod/ホッパー/)

板厚0.8mmのSUS304-2B材を使用したホッパーの製作事例です。ベンディングロール等を活用して3つの部品をロール曲げし、Tig溶接にて一体化しています。薄板特有の課題である溶接時の熱歪みを抑え、平滑かつ高精度に成形されているのが特徴です。

R曲げカバー

R曲げカバー
引用元HP:精密板金加工.com
(https://seimitubankin.com/product/867/)

SUS304 #400磨き材を用いた、精度±0.2mmのR曲げカバーの製作事例です。プレスブレーキ用の特殊装置「ベンディングロール」を使用し、通常のロール機では困難な曲げ範囲の限定を実現しています。表面の光沢を維持しつつ、特定箇所にのみ正確なR加工を施しており、精密な金型選定と加工技術が反映された一品です。

ステンレス素材をベンディングロール加工する際の注意点

強固なスプリングバック(跳ね返り)への対策

ステンレスは普通鋼に比べて屈伏点が高いため、曲げ加工を施した後に元の形状に戻ろうとする「スプリングバック」が強く発生する傾向があります。この跳ね返りを考慮せずに加工を行うと、目標とする径よりも大きく仕上がってしまうリスクが考えられるでしょう。そのため、設計上の数値よりも意図的に深く曲げるオーバーベントの計算が必要となります。材料のロットごとに微妙に異なる硬さを見極め、ロールの加圧力を繊細にコントロールすることが、高精度な仕上がりを実現するための鍵となります。

表面のキズ・圧痕の防止と保護対策

ステンレス製品の多くは外観の美しさが付加価値となるため、加工プロセスにおける表面保護には細心の注意を払わなければなりません。ベンディングロールの金属ロールと鋼板が直接接触することで、擦り傷や圧痕が生じる可能性があるからです。これを防ぐためには、ワークに保護フィルムを貼付した状態で加工を行ったり、ロール自体の表面を滑らかにメンテナンスしたりする工夫が求められます。また、鉄粉がステンレスに付着して発生する「もらいサビ」を防止するため、作業環境の清掃やロールの洗浄も重要なポイントと言えます。

加工硬化によるクラック(割れ)の回避

ステンレスは加工を繰り返すことで材料が硬くなる「加工硬化」という性質を持っており、これが過度に進むと材料にクラック(割れ)が生じる恐れがあります。特に小さな半径での曲げや、何度も同じ箇所を修正するようにロールを通す作業では注意が必要となるでしょう。一度の工程で理想的な形状に近づけるようなロール選定や、板厚に応じた最小曲げ半径を遵守することが、材料の健全性を守る上で極めて重要です。無理な負荷を避け、材料の特性に応じた適切なスピードで加工を進めることが推奨されます。

高精度なステンレス曲げを実現する設備選定のポイント

3本ロールと4本ロールの使い分け

ベンディングロールには大きく分けて3本ロール機と4本ロール機が存在し、それぞれに特徴があります。ステンレス加工、特に高い寸法精度が求められるケースでは、4本ロール機が有利に働く場面が多いようです。4本ロール機は鋼板を上下のロールでしっかりと挟み込みながら加工を進めるため、材料の滑りを防ぎやすく、端曲げと呼ばれる端部の平坦な部分を最小限に抑えることが可能です。一方で、シンプルな構造の3本ロール機も、コストパフォーマンスや汎用性の面で根強い需要があり、用途に合わせた適切な選択が望まれます。

NC制御・自動化による品質の安定化

ベンディングロールにはNC(数値制御)機能が搭載されているものもあり、加工プログラムを保存することで再現性の高い作業が可能になっています。ステンレスのようにスプリングバックの調整が難しい素材において、過去の成功データを活用できるメリットは非常に大きいと言えるでしょう。また、自動化されたシステムを導入することで、作業者ごとの技術差による品質のバラツキを抑え、安定した生産体制を構築することができます。生産効率の向上だけでなく、人的なミスによる材料の廃棄を減らす観点からも、高度な制御システムの導入は有効な手段となります。

まとめ

ステンレスのベンディングロール加工を成功させるためには、製品に求められる耐食性や意匠性を維持しつつ、素材特有の「スプリングバック」や「加工硬化」を適切にコントロールすることが不可欠です。普通鋼とは異なる繊細な取り扱いが求められるからこそ、設備の選定や加工条件の設定には専門的な視点が欠かせません。

最適なベンディングロールを選び、素材の特性に合わせた工法を実践することで、歩留まりの向上と高品質なものづくりが実現できるでしょう。これからステンレス製品の製造を検討されている方は、ぜひ今回の注意点や設備選定のポイントを参考にしてみてください。

【曲げたい部品別】
ベンディングロール
メーカー3選
 

曲げ加工は、板厚・材質・曲げ形状によって、ロール構成や駆動方式、制御性能に求められる仕様が異なります。そのため、ベンディングロールの導入では、加工する板の厚みや形状など、曲げたい部品に応じて選定することがポイントです。ここでは、加工対象別に3つのメーカーをご紹介しています。

〜2.3mmの板厚
仕上がりの美しさが
求められる部品
例えば、こんな部品に
装飾金属品
薄板製のダクト
デザイン筐体
小型タンク

マツモト機械

マツモト機械公式HP
引用元:マツモト機械公式HP(https://www.mac-wels.co.jp/web_exhibition/metal_process_mac_roll.html)
おすすめの理由
薄板の端曲げなど
繊細な加工も安定

小型製品の加工に適した80mm〜100mmのロール径です。油圧式による安定した加圧制御で圧力調整がしやすく、押し傷や曲げムラを抑えて外観品質の高い成形が行えます。

ワークへの傷を防ぐ
ウレタンロール

下ロールにウレタンを使用しており、柔らかな表面でワークに傷がつくのを防ぎます。特にステンレスなど、傷が目立ちやすい薄板素材を扱う加工におすすめです

〜75mmの板厚
曲げが複数ある部品
例えば、こんな部品に
円錐タンク
圧力容器
トンネル部材
洋上風力部品

大同マシナリー

大同マシナリー公式HP
引用元:大同マシナリー公式HP(http://www.dm-daido.co.jp/product/machine_equipment/)
おすすめの理由
複雑な曲げ加工の
「自動化」を実現

CNC制御に加えて手動操作を再現する機能を搭載し、円錐曲げや多段曲げなどの複雑な形状も、自動運転で加工が可能。作業者の熟練度に左右されず、品質の安定化と作業効率の向上に貢献します。

多段曲げでも
端部までズレない仕上がり

インバータ制御と特許取得のワーク接触方式により、多段曲げでもズレやたわみを抑え、端部の寸法精度と真円度を正確にコントロール。補正や再加工の手間が減り、工数を大きく削減します。

〜300mmの板厚
高強度の特大部品
例えば、こんな部品に
船体基礎構造
大型支持架台
高圧ボイラー

DAVI

DAVI公式HP
引用元HP:DAVI公式HP(https://www.davi.com/jp/jp/mav-3rorukebianzhou)
おすすめの理由
大型プレート対応の
駆動システム

DAVIの3ロール式可変軸ロールベンダーは、大型・高負荷に対応する複数ギアの駆動システムを搭載。重い負荷をかけても安定した動作が可能で、300mmの特大サイズの部品も加工できます。

高強度が要求される
素材に対応

頑丈なフレーム構造により、大型・特注形状のプレートや高強度鋼板にも対応可能。高い耐久性が求められる石油・ガス業界での導入実績もあり、高強度な金属部品の加工ニーズに応えます。

※参照元:大同マシナリー公式HP【PDF】(http://www.dm-daido.co.jp/english/pdf/machine_equipment04.pdf
曲げたい部品別 ベンディングロールメーカー3選
曲げたい部品別
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