2本ロールとは、ロールが2本取り付けられているタイプのベンディングロールです。2本のロールが上下垂直方向に並んでおり、それぞれのロールの圧力で板金素材をカーリングさせながら変形加工します。上ロールより下ロールの方がサイズが大きく、上ロールの圧力で曲げ角度を調整する構造が一般的です。
大きな特徴は、加工精度に優れている点です。面を連続して回転させながら曲げ加工を行うため、端部まで美しく仕上げることが可能です。
繰り返し精度の高さもメリット。加圧力と製品径の関係を把握し、適切な範囲で加工することで安定した加工を続けることができます。加工速度も速いので、量産品の加工におすすめです。
注目は、3本ロールで必要な端曲げが必要ない点です。端曲げとは、ベンディングロールで加工しきれない、平らなまま残ってしまう端の部分をあらかじめ少し「曲げ」ておく加工のこと。端曲げをしなくて済むため、効率よく加工作業を進めることができます。3本ロールの端曲げ専用として使用することも可能です。
デメリットは、板金素材のサイズに合わせて上ロールを変えなくてはならない点です。ロールを交換する手間がかかる上、素材に合わせたロールを複数用意しなくてはならずコストがかかります。このため多品種小ロット生産にはあまり向いていません。
大きな違いは、板材を曲げる際に使用されるローラーの数と構造です。2本ロールは3本ロールに比べて構造がシンプル、かつ操作が簡単。加工速度も速いため、大量生産に適しています。
ただし複雑な形状や厚み・幅が異なる材料の曲げ加工は3本ロールの方が得意。どちらのロールを選択するかは、加工する材料や曲げ形状、生産量などの条件に合わせて選んでみてください。
2本ロールは、端部まで曲げやすく、加工精度や繰り返し精度を確保しやすいため、薄板の円筒部品を効率よく量産したい場合に適しています。一方、ウレタンロールを採用した機種でも、加圧方式、対応する曲げ径、量産性、自動化の範囲などはメーカーによって異なります。
ここでは、2本ロールの導入目的に応じて、マツモト機械、アイセル、サン機工(現:日本酸素G&W株式会社 産機製造部)の機種を紹介します。
| 比較項目 | マツモト機械 「MAC ROLL MURシリーズ」 |
アイセル 「BU-U」 |
サン機工 「ウレタンロール」 |
|---|---|---|---|
| 選定の目安 | ~2.3mmの薄板 ×外観品質・油圧調整 |
薄板 ×高速量産・自動ライン化 |
小径の薄板 ×加工径・品種への対応 |
| 主な方式・機構 | 油圧式2本ウレタンロール | ウレタンベンディングロール、自動たわみ追従装置(BU-U1500以上) | モーター駆動方式/モーター駆動エアー加圧方式 |
| 公式情報で確認できる強み | 同一品種の量産、高精度な端曲げ、2種類の有効ロール幅 | 小径品の高速加工、端曲げ、真円度・円筒度、自動ライン化への展開 | 成形リングによる安定した真円度、小径加工、交換式鉄芯による品種対応 |
| 向いている加工 | 外観品質を重視する薄板円筒部品 | 同一形状の小径部品を大量生産する工程 | 小径品の量産、または小径・多品種の加工 |
※実際の加工可否や仕上がりは、材質、板厚、板幅、曲げ径、加工数量、ロールの状態などによって異なります。導入時は加工条件を各メーカーへ伝え、対応機種と必要な仕様を確認してください。
マツモト機械の「MAC ROLL」MURシリーズは、同一品種の大量生産を想定した油圧式2本ウレタンロールです。MUR-550とMUR-1050は、いずれもSS400で板厚2.3mmの曲げ加工能力を掲載しています。
装飾金属品、薄板製ダクト、デザイン筐体、小型タンクなど、薄板を使用する円筒部品を高精度かつ効率的に加工したい場合の選択肢になります。
下ロールには、金属よりも柔らかいウレタンを採用しています。ワークを面で支えながら曲げるため、押し傷や加工跡の発生を抑えやすく、ステンレスなど外観品質を重視する薄板の加工に向いています。
油圧機構によってロールの加圧量を調整できるため、目的の曲げ径に合わせて加工条件を設定できます。同じ条件で繰り返し加工することで、量産時の仕上がりをそろえやすい点も特長です。
| 項目 | MUR-550 | MUR-1050 |
|---|---|---|
| 曲げ加工板厚 | SS400・2.3mm | SS400・2.3mm |
| 有効ロール幅 | 550mm | 1,050mm |
| 標準上ロール径 | φ80~110mm | φ140~180mm |
| 油圧用電動機 | 1.5kW | 1.5kW |
| 回転用電動機 | 0.75kW | 2.2kW |
| 外形寸法 | 幅1,470×奥行1,000×高さ800mm | 幅2,250×奥行1,200×高さ1,100mm |
| 重量 | 750kg | 1,600kg |
※仕様は変更される場合があります。また、実際の加工能力は材質、板幅、曲げ径などによって異なります。導入時はマツモト機械へ最新仕様をご確認ください。
アイセルの「BU-U」は、薄板の量産成形を目的としたウレタンベンディングロール機です。公式製品ページでは、小径品であれば1日3,000~4,000個の加工が可能と案内されています。
平板だけでなく、プレス加工済みのワーク、孔のあるワーク、段押ししたワークにも対応。温水器タンク、変圧器、ストーブ用心金など、小径の円筒部品を高い生産性で加工したい場合に検討しやすい機種です。
BU-Uは端曲げに対応しており、高い真円度・円筒度を狙える点が特長です。端部の直線部分を抑えながら、同一形状の円筒部品を安定して繰り返し成形したい工程に適しています。
BU-U1500以上には、自動たわみ追従装置を搭載しています。ウレタンロールの圧力によって上ロールに生じるたわみに対し、油圧でウレタンロール中央部の押し上げ量を調整。細長いワークの中央部で曲がりが不足する現象を抑えます。
アイセルは、ベンディングロールに加えて溶接装置や二次加工機も展開しています。ロール成形から溶接、二次加工までを自動ライン化し、生産性の向上や省人化を図りたい場合にも相談できます。
サン機工の製品は、現在、日本酸素G&W株式会社の産機製造部が案内しています。ウレタンロールには、モーター駆動方式とモーター駆動エアー加圧方式があり、生産形態に応じて検討できます。
モーター駆動方式は、成形リングによって製品径を決める構造です。真円度と加工精度を安定させやすく、小径加工や端曲げを別工程で行わない薄板の大量生産に適しています。
弾性のあるウレタンロールでワークを支えて成形するため、金属ロールとの接触による傷や加工跡の発生を抑えやすい構造です。小型タンクや各種カバーなど、小径・薄板で外観品質を重視する部品の加工候補になります。
※傷の発生は、ワークの材質、ロールの状態、異物の付着、加工条件などにも左右されます。実際の仕上がりは、使用する材料で事前に確認してください。
モーター駆動エアー加圧方式では、オプションの鉄芯を入れ替えることで、小径曲げにおける複数の加工条件に対応できます。鉄芯を交換しやすい構造のため、小径部品を少量・多品種で生産したい場合にも適しています。
3社の対応範囲には重なる部分があります。メーカー名だけで決めず、材質、板厚、板幅、希望する曲げ径、加工数量、前後工程、求める仕上がりを各社へ伝え、加工可否と必要な仕様を確認しましょう。
曲げ加工は、板厚・材質・曲げ形状によって、ロール構成や駆動方式、制御性能に求められる仕様が異なります。そのため、ベンディングロールの導入では、加工する板の厚みや形状など、曲げたい部品に応じて選定することがポイントです。ここでは、加工対象別に3つのメーカーをご紹介しています。

小型製品の加工に適した80mm〜100mmのロール径です。油圧式による安定した加圧制御で圧力調整がしやすく、押し傷や曲げムラを抑えて外観品質の高い成形が行えます。
下ロールにウレタンを使用しており、柔らかな表面でワークに傷がつくのを防ぎます。特にステンレスなど、傷が目立ちやすい薄板素材を扱う加工におすすめです。

熟練の技を再現する高度なCNC自動制御により、円錐や多段曲げなどの複雑な形状も自動化。作業者のスキルに依存せず、常に均一で高精度な仕上がりを維持し、生産効率の大幅な向上に貢献します。
特許取得のワーク接触方式※とインバータ制御、さらにロールたわみ補正機能が、多段曲げでも端部のズレを抑えます。圧倒的な寸法精度と真円度を一発で実現し、手直しや再加工の工数を激減させます。

DAVIの3ロール式可変軸ロールベンダーは、大型・高負荷に対応する複数ギアの駆動システムを搭載。重い負荷をかけても安定した動作が可能で、300mmの特大サイズの部品も加工できます。
頑丈なフレーム構造により、大型・特注形状のプレートや高強度鋼板にも対応可能。高い耐久性が求められる石油・ガス業界での導入実績もあり、高強度な金属部品の加工ニーズに応えます。