曲げ加工・メーカーの選び方を解説|ベンディングロール大全

造船

造船で使われる理由

複雑な3次元曲面を効率的に再現するため

船舶の船首や船底といった部位は、水の抵抗を最小限に抑えるために極めて複雑な曲線で構成されることが一般的です。こうした曲線を正確に再現する際、ベンディングロールはプレス加工と比較して、連続的に均一な半径(R)を付与することを得意としています。鋼板に対して滑らかな曲面を形成できるため、仕上がりの美しさと流体性能の両立を図ることが可能です。造船においてこの加工精度は、船全体の燃費や走行性能を左右する大きな要素となり得ると考えられています。熟練の技術を要する形状であっても、高性能なマシンを活用することで、安定した品質での再現が期待できるでしょう。

厚板かつ長尺な鋼板の加工が不可欠なため

大型船舶の建造には、数十ミリメートルもの厚みを持つ鋼板や、時には十メートルを超えるような長尺の部材が多用される傾向にあります。これほど重量があり強固な材料を、設計通りの形状に歪みなく曲げるためには、強大な加圧能力を備えた設備が欠かせません。ベンディングロールであれば、広範囲にわたって一定の圧力を加えながら加工を進められるため、大型部材であっても安定した品質を維持しやすくなります。造船現場の厳しい要求に応えるためには、こうしたマシンのパワーと安定性が不可欠と言えるでしょう。また、高張力鋼のような反発の強い素材を扱う場合でも、適切な剛性を持つマシンであれば正確な加工が見込めます。

溶接箇所の削減による強度向上と工期短縮

ベンディングロールを活用して一枚の大きな鋼板を長尺のまま曲げ加工することで、溶接の箇所を最小限に留めることが期待できます。接合部が減ることは、船体全体の強度を高めるだけでなく、溶接に伴う熱歪みのリスクを軽減することにも繋がります。さらに、工程数が減少することで全体の工期短縮やコストの最適化が見込める点も、大規模なプロジェクトである造船において大きなメリットです。効率的な生産体制を構築する上で、長尺加工に対応したベンディングロールは極めて合理的な選択肢となります。こうした加工の効率化は、造船所の競争力を維持・向上させる重要な要因になり得るのです。

造船に求められるマシンの機能や特徴

巨大な荷重に耐えうる高剛性と加圧力

造船用のベンディングロールには、極厚の鋼板を曲げる際に発生する強烈な反発力に耐えるための、非常に高い剛性が求められます。もし本体のフレームが荷重に耐えきれず歪んでしまうと、加工精度に悪影響を及ぼし、設計通りの曲線を維持できなくなる恐れがあるからです。そのため、頑強な構造に加えて、クラウニング機構などの高度な機能が搭載されていることが多くあります。こうした優れた剛性と緻密な制御機能の組み合わせによって、過酷な条件下でも安定した加工精度を実現しているのです。長期にわたって高い精度を維持するためには、マシンのフレーム設計そのものの信頼性が何よりも重要視されます。

船首・船尾の加工を支える特殊曲げ機能

船舶の形状は多種多様であり、単純な円筒状だけでなく、先細りになった円錐状の加工が必要とされる場面もしばしば見受けられます。造船に用いられるベンディングロールには、ロールを左右独立して傾斜させる機能が備わっているタイプがあり、これによって複雑なテーパー形状の再現を可能にしています。船首や船尾といった部位を効率よく成形するためには、こうした柔軟な調整機能が極めて重要です。多様な設計デザインに柔軟に対応できる汎用性の高さが、現代の造船加工における大きな強みになると考えられています。最新の制御システムを搭載したモデルであれば、こうした複雑な傾斜曲げもより高い再現性で実行できるでしょう。

大型材を安全に扱うための搬送サポート体制

数十トンにも及ぶ巨大な鋼板を扱う造船の現場では、加工機そのものの性能に加え、材料を安全に支える周辺設備の充実が強く求められます。具体的には、加工中に鋼板の自重による垂れ下がりを防ぐサイドサポートや、上部から支えるオーバーヘッドサポートといった装置が挙げられるでしょう。これらの周辺装置とマシン本体が高度に連携することで、作業者のリスクを軽減し、より安全な作業環境を構築することが可能となります。安全性と作業効率の両立は、大規模な部材を扱う現場において避けては通れない重要な課題です。搬送の自動化が進むことで、少人数での安全なオペレーションも現実的なものとなります。

過酷な環境下でも精度を維持する耐久性とメンテナンス性

造船所は粉塵や湿度、温度変化が激しい環境であることが多いため、精密な機械であっても高い耐久性が求められます。油圧システムや電気系統の密閉性を高めることで、外部環境の影響を受けにくくする工夫が施されているモデルも存在します。また、万が一の故障時にダウンタイムを最小限に抑えるための自己診断機能や、日常的な点検を行いやすい設計も、長期的な運用コストを抑える上では無視できない要素です。過酷な現場で稼働し続けるマシンには、堅牢さとメンテナンスのしやすさという二つの側面が期待されています。信頼性の高いサポート体制を持つメーカーの製品を選ぶことも、運用の安定化には欠かせません。

製造加工事例

造船用R曲げ加工

造船事例1
引用元HP:株式会社昭和ベンダー公式HP
(https://www.big-advance.site/c/157/2408/works/detail/4)

造船用途の鋼材に対し、大ロットでのR曲げ加工を実施した事例です。一定の曲率を保ちながら、複数部材を安定した品質で加工しています。

※参照元:株式会社昭和ベンダー公式HP(https://www.big-advance.site/c/157/2408/works/detail/4)

まとめ

造船業界において、ベンディングロールは船体の品質と生産効率を左右する心臓部とも言える設備です。近年の船舶大型化や特殊船の需要増に伴い、より高精度で多機能なマシンが現場では求められています。自社の建造スタイルや扱う材料の特性に合わせて、最適な能力を持つ一台を選定することが、長期的な生産性の向上につながるでしょう。本記事の内容が、造船現場における最適な設備導入や検討の一助となれば幸いです。

【曲げたい部品別】
ベンディングロール
メーカー3選
 

曲げ加工は、板厚・材質・曲げ形状によって、ロール構成や駆動方式、制御性能に求められる仕様が異なります。そのため、ベンディングロールの導入では、加工する板の厚みや形状など、曲げたい部品に応じて選定することがポイントです。ここでは、加工対象別に3つのメーカーをご紹介しています。

〜2.3mmの板厚
仕上がりの美しさが
求められる部品
例えば、こんな部品に
装飾金属品
薄板製のダクト
デザイン筐体
小型タンク

マツモト機械

マツモト機械公式HP
引用元:マツモト機械公式HP(https://www.mac-wels.co.jp/web_exhibition/metal_process_mac_roll.html)
おすすめの理由
薄板の端曲げなど
繊細な加工も安定

小型製品の加工に適した80mm〜100mmのロール径です。油圧式による安定した加圧制御で圧力調整がしやすく、押し傷や曲げムラを抑えて外観品質の高い成形が行えます。

ワークへの傷を防ぐ
ウレタンロール

下ロールにウレタンを使用しており、柔らかな表面でワークに傷がつくのを防ぎます。特にステンレスなど、傷が目立ちやすい薄板素材を扱う加工におすすめです

〜75mmの板厚
曲げが複数ある部品
例えば、こんな部品に
円錐タンク
圧力容器
トンネル部材
洋上風力部品

大同マシナリー

大同マシナリー公式HP
引用元:大同マシナリー公式HP(http://www.dm-daido.co.jp/product/machine_equipment/)
おすすめの理由
複雑な曲げ加工の
「自動化」を実現

CNC制御に加えて手動操作を再現する機能を搭載し、円錐曲げや多段曲げなどの複雑な形状も、自動運転で加工が可能。作業者の熟練度に左右されず、品質の安定化と作業効率の向上に貢献します。

多段曲げでも
端部までズレない仕上がり

インバータ制御と特許取得のワーク接触方式により、多段曲げでもズレやたわみを抑え、端部の寸法精度と真円度を正確にコントロール。補正や再加工の手間が減り、工数を大きく削減します。

〜300mmの板厚
高強度の特大部品
例えば、こんな部品に
船体基礎構造
大型支持架台
高圧ボイラー

DAVI

DAVI公式HP
引用元HP:DAVI公式HP(https://www.davi.com/jp/jp/mav-3rorukebianzhou)
おすすめの理由
大型プレート対応の
駆動システム

DAVIの3ロール式可変軸ロールベンダーは、大型・高負荷に対応する複数ギアの駆動システムを搭載。重い負荷をかけても安定した動作が可能で、300mmの特大サイズの部品も加工できます。

高強度が要求される
素材に対応

頑丈なフレーム構造により、大型・特注形状のプレートや高強度鋼板にも対応可能。高い耐久性が求められる石油・ガス業界での導入実績もあり、高強度な金属部品の加工ニーズに応えます。

※参照元:大同マシナリー公式HP【PDF】(http://www.dm-daido.co.jp/english/pdf/machine_equipment04.pdf
曲げたい部品別 ベンディングロールメーカー3選
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