端曲げ(はなまげ)とは、曲げ加工を行う板金素材の端を曲げる加工のことです。ベンディングロールでは板金素材を上下のロールで挟み、全体に圧力を加えて加工します。しかしこの方法だと板材の端の方には力が伝わらず、平らなまま残ってしまいます。端曲げとは、この平らな部分を残さないよう、あらかじめ少し「曲げ」ておく加工のことです。
以前は端曲げをせず長めの板を加工して端を切除したり、先端だけプレスブレーキで曲げたりしていましたが、近年はベンディングロールを使用し、トップロールを水平移動させることで端曲げを行うことが可能です。

ベンディングロールで端曲げを行った事例です。素材の端をロール加工する前に少し曲げておく(端曲げ)ことで、板全体を綺麗に曲げることが可能。円筒状に曲げ、溶接する際も端と端が揃いやすくなります。手作業で行うこともできますが、ベンディングロールを活用することで、工数を削減することが可能です。

ベンディングロールで鉄製工作機械用カバーの端曲げ加工をした事例です。曲げ加工の精度が製品の完成度を大きく左右するため、正確な曲げ精度を維持して加工を行いました。
端曲げでは、部品の端部に限定して曲げ加工を行うため、材料の反りや変形を抑えつつ、狭い範囲で滑らかに曲げられる構造が重要。ロール径が小さいベンディングロールであれば、2.3mm以下の薄板でも繊細な曲げが可能です。
端曲げは、比較的短尺で薄い材料への加工が多いため、スピードと操作性がポイントです。手動や油圧式のシンプルなベンディングロールであれば、軽い力でも効率よく加工でき、作業者の負担も軽減できます。
外観に関わるパネルや装飾部品などでは、端部の滑らかさや曲げムラのない仕上がりが求められます。過剰な圧力や滑りを防げるよう、細かく圧力を調整できる構造があるベンディングロールなら、安定した加工が可能です。
このように、端曲げではロール径や操作性、圧力調整のしやすさが仕上がり品質に直結します。曲げ加工は板厚・材質・形状によって適した構造や駆動方式が変わるため、導入時には加工対象に合った機種を選ぶことが大切です。
このサイトでは、加工対象の板厚や形状に合わせて、おすすめのベンディングロールメーカーをご紹介しています。
端曲げで重要なのは、単に板の端を曲げられるかではなく、曲げられずに残る「端部直線残り」をどこまで短くできるかです。端部直線残りが長いと、円筒にした際に継ぎ目付近だけ平らになり、真円度や溶接時の突き合わせ精度に影響します。
一方、必要な機構は板厚によって異なります。薄板では傷や曲げムラを抑えられる操作性、中厚板では送り位置とロール位置の制御、超厚板では大きな荷重をかけながら板を確実に保持する構造が重要です。ここでは、端曲げへの対応を公式情報で確認できるマツモト機械、大同マシナリー、DAVI(ダヴィ)の3社を比較します。
| 比較項目 | マツモト機械 「MAC ROLL」 |
大同マシナリー 「CNCベンディングロール BSシリーズ」 |
DAVI 「3ロール式可変軸 MAVシリーズ」 |
|---|---|---|---|
| 選定の目安 | ~2.3mmの薄板 ×外観品質・操作性 |
~75mmの中厚板 ×端部精度・自動化 |
厚板・超厚板 ×短い端部直線残り |
| 端曲げの特徴 | 端曲げ式3本ロールと油圧式2本ウレタンロールを用意 | ワーク接触方式で送り量を測定し、端曲げをCNC制御 | 板を接点位置で挟み込み、端部直線残りを短縮 |
| 公式掲載の目安 | SS400・板厚2.3mm、加工幅1,000mm | 端曲げ板厚9~75mm、端部直線残り2~3×板厚 | MAVシリーズ:板厚20~300mm、板幅1,500~6,000mm |
| 向いている部品例 | 薄板ダクト、デザイン筐体、小型タンク、装飾部品 | 圧力容器、タンク、ボイラー、塔槽、風力発電部品 | 厚肉圧力容器、洋上風力部品、大型タンク、エネルギー設備 |
※各数値は各社の公式サイト・カタログに掲載された機種またはシリーズの仕様です。実際の端曲げ能力と端部直線残りは、材質、板厚、板幅、曲げ内径、降伏点などによって変わります。
薄板の端曲げでは、端部の狭い範囲へ適切に力を加えながら、押し傷や曲げムラを抑える必要があります。外観面がそのまま製品品質に影響するダクトや筐体では、加工能力だけでなく、ロール径や加圧方法も確認したいポイントです。
マツモト機械の「MAC ROLL」には、薄板板金向けの端曲げ式3本ベンディングロール「MBR-1050-3BH」があります。SS400で板厚2.3mm、加工幅1,000mmの能力が掲載され、上ロール径は112mm、下ロール径は81mmです。端曲げに対応する専用構造を持つため、薄板部品の端部直線残りを抑えたい場合に検討できます。
同シリーズには、油圧式2本ウレタンロール「MUR-550」「MUR-1050」もあります。公式サイトでは高精度な端曲げへの対応を掲げており、金属より柔らかいウレタン下ロールでワークを支えながら成形します。外観品質を重視する薄板部品では、端曲げ式3本ロールと併せて比較できます。
※傷の発生は、材質、保護材、ロールの状態、異物の付着、加圧条件などにも左右されます。使用する材料を提示し、仕上がりを確認してください。
| 項目 | MBR-1050-3BH | MUR-1050 |
|---|---|---|
| ロール構成 | 端曲げ式3本ロール | 油圧式2本ウレタンロール |
| 曲げ加工能力 | SS400・2.3mm×1,000mm | SS400・2.3mm |
| 有効加工幅 | 1,000mm | 1,050mm |
| ロール径 | 上:112mm 下:81mm | 標準上ロール:140~180mm |
| 主な特徴 | 薄板板金用の端曲げ式 | ウレタン下ロール、油圧式加圧 |
中厚板の端曲げでは、強い加圧力が必要になるだけでなく、曲げ始める位置と板の送り量を正確に管理しなければなりません。送り位置がずれると端部直線残りが長くなったり、反対側の端部と曲率がそろわなかったりして、円筒成形後の突き合わせ精度に影響します。
大同マシナリーの「CNCベンディングロール BSシリーズ」は、ワーク接触方式のメジャーリングロールで実際の送り量を測定し、上下ロールの位置をリニアセンサーで監視します。公式サイトでも「確実性の高い端曲げ」を特徴として掲げており、送り量とロール位置の両方を管理しながら端曲げできます。
BSシリーズの公式カタログでは、標準機の端部直線残りを板厚の2倍または3倍として掲載しています。例えば板厚20mmの場合、目安となる端部直線残りは40~60mmです。端部直線残りの目安が仕様として示されているため、完成形状や溶接前の要求寸法と照らし合わせながら機種を検討できます。
※端部直線残りは型式によって2×板厚または3×板厚です。材質、板幅、曲げ内径などによって実際の数値は変わるため、ワーク条件ごとの確認が必要です。
材質、板厚、材長、板幅、曲げ内径を入力すると、曲げ加工の動作プログラムが生成されます。生成後のプログラムは部分的に修正できるため、材料のスプリングバックや実際の端曲げ結果に合わせて条件を追い込み、次回以降の加工へ活用できます。
手動操作を記録して機械に再現させるティーチングプレイバック機能を標準搭載しています。自動計算だけでは仕上げにくい材質や特殊形状でも、熟練作業者が調整した端曲げ工程を保存し、繰り返し加工や技能継承に利用できます。
| 項目 | 公式サイト・カタログの掲載内容 |
|---|---|
| 端曲げ板厚 | 9~75mm |
| 端部直線残り | 2×板厚または3×板厚 |
| 板幅 | 3,000~5,000mm |
| 送り量測定 | ワーク接触方式のメジャーリングロール |
| ロール位置 | リニアセンサーで監視 |
| 加工の再現 | ティーチングプレイバック機能を標準搭載 |
※数値はJIS SS400相当で計算した標準機の参考範囲です。実際の加工能力は、型式、材質、板幅、曲げ内径などによって異なります。
厚板・超厚板の端曲げでは、大きな荷重をかけながら、板端を適切な位置で確実に保持する必要があります。板がスリップして接点からずれると、端部直線残りが長くなるだけでなく、重量のあるワークが不安定になるおそれもあります。
DAVIの「MAVシリーズ」は、上ロールが垂直方向、左右のロールが水平方向に移動する3ロール式可変軸ベンディングロールです。上ロールと片側のロールで板を接点位置に挟み込み、端曲げ時の端部直線残りを短くする構造を採用しています。
左右ロールに薄型ギアボックスを採用し、端曲げ時に上ロールと片側ロールの軸を近づけられる設計です。板端を曲げの接点位置で挟み込めるため、機械の加工能力を大きく制限せず、曲げられずに残る直線部を短くできます。
上ロールと左右のロールをすべて駆動する「All-Rolls-Drive」を標準採用しています。各ロールの速度を同期させてワークへトルクを伝えることで、高負荷の端曲げでも板材のスリップや落下のリスクを抑える設計です。
| 項目 | 公式サイト・技術資料の掲載内容 |
|---|---|
| 構造 | 3ロール式可変軸 |
| 端曲げ | 板を接点位置で挟み込み、端部直線残りを短縮 |
| 板厚ラインアップ | 20~300mm |
| 板幅ラインアップ | 1,500~6,000mm |
| 駆動方式 | All-Rolls-Drive(3本すべてを駆動) |
| ロール間隔 | 左右ロールを水平方向へ個別に移動可能 |
※板厚・板幅はMAVシリーズ全体の掲載範囲であり、すべての条件で同じ端部直線残りを実現するものではありません。実際の端曲げ能力は、材質、板厚、板幅、曲げ内径などによって異なります。
端曲げ性能を比較する際は、「端曲げ可能」という表記だけでなく、対象材質・板厚・板幅・曲げ内径における端部直線残りを確認することが重要です。完成形状の図面と要求公差をメーカーへ提示し、端曲げ後の直線残り、スプリングバック、溶接前の突き合わせ状態まで含めて仕様を確認しましょう。
曲げ加工は、板厚・材質・曲げ形状によって、ロール構成や駆動方式、制御性能に求められる仕様が異なります。そのため、ベンディングロールの導入では、加工する板の厚みや形状など、曲げたい部品に応じて選定することがポイントです。ここでは、加工対象別に3つのメーカーをご紹介しています。

小型製品の加工に適した80mm〜100mmのロール径です。油圧式による安定した加圧制御で圧力調整がしやすく、押し傷や曲げムラを抑えて外観品質の高い成形が行えます。
下ロールにウレタンを使用しており、柔らかな表面でワークに傷がつくのを防ぎます。特にステンレスなど、傷が目立ちやすい薄板素材を扱う加工におすすめです。

熟練の技を再現する高度なCNC自動制御により、円錐や多段曲げなどの複雑な形状も自動化。作業者のスキルに依存せず、常に均一で高精度な仕上がりを維持し、生産効率の大幅な向上に貢献します。
特許取得のワーク接触方式※とインバータ制御、さらにロールたわみ補正機能が、多段曲げでも端部のズレを抑えます。圧倒的な寸法精度と真円度を一発で実現し、手直しや再加工の工数を激減させます。

DAVIの3ロール式可変軸ロールベンダーは、大型・高負荷に対応する複数ギアの駆動システムを搭載。重い負荷をかけても安定した動作が可能で、300mmの特大サイズの部品も加工できます。
頑丈なフレーム構造により、大型・特注形状のプレートや高強度鋼板にも対応可能。高い耐久性が求められる石油・ガス業界での導入実績もあり、高強度な金属部品の加工ニーズに応えます。