円錐曲げとは、板金素材を円錐形(すり鉢状)に加工する方法のこと。「レジューサ曲げ」「テーパー曲げ」とも呼ばれます。
ベンディングロールに上底と下底の長さが違う台形の板金素材をセットし、上型と下型の間に挟み込んで加工を行います。板全体を均一に曲げるO曲げ(円筒曲げ)に対して、円錐曲げでは曲げ半径が異なる大径側と小径側とでロールへの押し当て力・送り速度・曲げ量などを変えなくてはなりません。このため円錐曲げに対応した設備と高い加工技術が必要です。

円錐加工の事例です。画像掲載元のフタバでは、自社開発の円錐専用ローラーやプレス機を保有し、高精度な一円曲げを行っています。

建築用に使用されるテーパー鋼管を加工した事例です。支給された材料を原寸展開し、切断後、プレス加工を実施。開先加工後に、仮組立、タック溶接、寸法検査まで行いました。後の製缶作業で組み立てがスムーズにできるよう、精度が出るよう注意して加工を行っています。
円錐曲げでは、板材の片側にのみ強い力がかかるため、上下ロールを独立して制御できる機構が重要。特に、下ロールを左右別々に動かせる構造は、円錐形状の立ち上がりや角度調整に有効です。
複雑な円錐曲げでは、手動操作だけでは一定の品質を保つのが難しく、熟練技術が求められてきました。CNCベンディングロールであれば、角度・ロール位置・送り速度などをプログラム制御できるため、複雑形状でも高精度な自動加工が可能です。
一部のベンディングロールには、高精度な円錐曲げを可能にするアタッチメントやティーチングプレイバック機能が搭載されています。これにより、試作時の手動操作を記録し、自動再現することが可能となり、段取り時間の短縮や安定加工につながります。
このように、円錐曲げに対応するには、ロール構造や制御機能に一定の条件が求められます。加えて、曲げ加工は板厚・材質・形状によって適した構造や駆動方式が変わるため、導入時には加工対象に合った機種を選ぶことが大切です。
このサイトでは、加工対象の板厚や形状に合わせて、おすすめのベンディングロールメーカーをご紹介しています。
円錐曲げでは、大径側と小径側で曲げ半径や板の送り量が異なるため、円筒曲げよりも板の位置ずれやスリップ、形状のばらつきが起こりやすくなります。安定した加工には、ロールを傾斜させる機構や円錐曲げ用アタッチメント、内外径の送り速度差を調整する制御などが必要です。
ただし、適した機種は板厚だけで決まりません。大径・小径、円錐角度、板幅、材質、完成形状、加工数量まで整理し、自社のワークに対応できるメーカーを選びましょう。ここでは、円錐曲げへの対応を公式情報で確認できる大同マシナリー、DAVI(ダヴィ)、HAEUSLER(ホイスラー)の3社を比較します。
| 比較項目 | 大同マシナリー 「CNCベンディングロール BSシリーズ」 |
DAVI 「3ロール式可変軸 MAVシリーズ」 |
HAEUSLER 「SPBM」 |
|---|---|---|---|
| 選定の目安 | 中厚板 ×円錐・多段曲げの自動化 |
厚板・高負荷材 ×複雑な円錐形状 |
造船向け長尺材 ×幅広の円錐部品 |
| 円錐曲げへの対応 | 着脱式コーンローリングアタッチメントを用意 | 3本のロールを傾斜させる円錐成形機構 | 下ロールを傾斜位置に設定可能 |
| 主な特徴 | タッチパネルでロール設定を計算。内外径の送り速度差も制御 | 最大でロール長3m当たり100mmの傾斜に対応 | 最大板幅25m・板厚60mmの造船向け設計 |
| 向いている部品例 | 円錐タンク、ホッパー、レジューサー、プラント部品 | 厚板ホッパー、圧力容器、エネルギー設備、大型円錐部品 | 船体外板、造船用テーパー部材、長尺・幅広の円錐部品 |
※各数値は各社の公式サイト・カタログに掲載された機種またはシリーズの仕様です。円錐曲げの加工能力は、材質、板厚、板幅、大径・小径、円錐角度などによって変わります。掲載上限の板厚・板幅で、すべての円錐形状を加工できることを示すものではありません。
円錐曲げでは、大径側と小径側で周長が異なるため、板の内径側と外径側に送り速度の差をつけながら成形する必要があります。手動調整だけで加工する場合、板のずれやスリップを抑えながら狙った円錐角度へ仕上げるには、作業者の経験が求められます。
大同マシナリーの「CNCベンディングロール BSシリーズ」は、着脱しやすいコーンローリングアタッチメントをオプションとして用意。1台で円筒曲げだけでなく、円錐曲げにも対応できます。ロールの設定値をタッチパネル上で計算できるため、段取り時の調整負担を抑えながら、加工条件を数値で管理できます。
上下ロールの回転をベクトルインバーターで制御し、円錐形状の内径側と外径側で必要となる送り速度の差をつくります。ワークに無理な滑りを生じさせずに送りやすく、円錐曲げで起こりやすいスリップ傷の抑制に寄与します。
メジャーリングロールをワークへ直接接触させ、実際の送り量を測定します。計算上のロール回転量だけに頼らず、板材の動きを捉えながら加工できるため、円錐曲げにおける板の送り位置や巻き始め・巻き終わりの管理を支援します。
手動操作を記録して機械に再現させるティーチングプレイバック機能を標準搭載しています。自動計算だけでは設定しにくい円錐形状でも、試作時に調整した操作を保存し、次回以降の加工や技能継承に活用できます。円錐曲げだけでなく、円筒曲げや多段曲げなど複数の加工を1台へ集約したい場合にも検討しやすい機種です。
| 項目 | 公式カタログの掲載内容 |
|---|---|
| 円錐曲げ | コーンローリングアタッチメント(オプション) |
| ロール設定 | タッチパネル上で計算可能 |
| 送り制御 | ベクトルインバーターで内径側・外径側の送り速度差を制御 |
| 送り量測定 | ワーク接触方式のメジャーリングロール |
| 加工の再現 | ティーチングプレイバック機能を標準搭載 |
| 端曲げ板厚 | 9~75mm(標準機の参考値・SS400相当) |
| 板幅 | 3,000~5,000mm(標準機の参考値) |
※端曲げ板厚と板幅はシリーズ全体の標準機における参考範囲であり、円錐曲げ時の能力を示すものではありません。実際の対応可否は、大径・小径、円錐角度、材質などを含むワーク条件を提示してご確認ください。
厚板や高強度材の円錐曲げでは、内径側へ大きな負荷が集中しやすく、十分な曲げ力に加えて、ワークを確実に送り続ける駆動力が必要です。円錐角度が大きい形状では、ロールの傾斜量も機種選定の重要な条件になります。
DAVIの「MAVシリーズ」は、上ロールが垂直方向、左右のロールが水平方向に移動する3ロール式可変軸ベンディングロールです。3本のロールすべてを傾斜させる円錐成形機構を備え、公式サイトではロール長3m当たり最大100mmの傾斜に対応するとしています。
上ロールと左右のロールをすべて駆動する「All-Rolls-Drive」を標準採用しています。各ロールからワークへトルクを伝え、高負荷がかかる端曲げや円錐曲げでも板材のスリップを抑え、送りを安定させる設計です。
左右ロールの軸間距離を調整できるため、板厚、材質、狙う曲げ径に応じて加工条件を設定できます。小さな径ではロール間隔を狭め、厚板の高負荷加工では大きなてこ比を得られるよう調整できる点が特徴です。
| 項目 | 公式サイトの掲載内容 |
|---|---|
| 構造 | 3ロール式可変軸 |
| 円錐曲げ | 3本のロールを傾斜させる円錐成形機構 |
| ロール傾斜量 | 最大100mm/ロール長3m |
| 板厚ラインアップ | 20~300mm |
| 板幅ラインアップ | 1,500~6,000mm |
| 駆動方式 | All-Rolls-Drive(3本すべてを駆動) |
※板厚・板幅はMAVシリーズ全体の掲載範囲です。円錐曲げ時の加工能力は、材質、大径・小径、円錐角度、ロール傾斜量などによって異なります。
造船用の外板や大型テーパー部材では、長尺・幅広のワークを扱いながら、板幅全体の形状を安定させる必要があります。板が長くなるほどロールのたわみが加工精度へ影響しやすいため、円錐曲げ機構だけでなく、たわみを補正する構造も重要です。
HAEUSLERの「SPBM」は、造船用途に合わせて設計された3ロールベンディングマシンです。下ロールを傾斜位置へ設定でき、円筒部品と円錐部品の両方を1台で成形できます。公式サイトでは、最大板幅25m、板厚60mmまでの加工能力を掲載しています。
左右の下ロールを傾斜させることで、大径側と小径側で異なる曲げ半径をつくり、円錐部品を成形します。円錐専用機を別に用意せず、同一機で円筒曲げと円錐曲げを使い分けたい造船所や大型製缶工場に適した構成です。
長尺加工で問題になりやすいロールのたわみに対し、自動たわみ補正機構を搭載しています。最大25m幅のワークを扱うことを想定し、板幅方向の曲げ形状を安定させる設計です。タッチディスプレイでは、曲げ加工に関するデータの表示・調整が行えます。
| 項目 | 公式サイトの掲載内容 |
|---|---|
| 用途 | 造船向け |
| 構造 | 3ロール |
| 円錐曲げ | 下ロールを傾斜位置に設定 |
| 最大板厚 | 60mm |
| 最大板幅 | 25m |
| たわみ対策 | 自動たわみ補正 |
※最大板厚・板幅はSPBMの掲載能力です。円錐曲げ時の対応範囲は、材質、形状、円錐角度などによって異なります。
円錐曲げは、同じ板厚でも大径・小径の差や円錐角度によって必要な荷重とロールの傾斜量が変わります。機種選定時は、材質、板厚、板幅、大径、小径、円錐角度、端部の直線残り、要求公差、加工数量をメーカーへ伝え、テスト加工や仕様確認を行いましょう。
曲げ加工は、板厚・材質・曲げ形状によって、ロール構成や駆動方式、制御性能に求められる仕様が異なります。そのため、ベンディングロールの導入では、加工する板の厚みや形状など、曲げたい部品に応じて選定することがポイントです。ここでは、加工対象別に3つのメーカーをご紹介しています。

小型製品の加工に適した80mm〜100mmのロール径です。油圧式による安定した加圧制御で圧力調整がしやすく、押し傷や曲げムラを抑えて外観品質の高い成形が行えます。
下ロールにウレタンを使用しており、柔らかな表面でワークに傷がつくのを防ぎます。特にステンレスなど、傷が目立ちやすい薄板素材を扱う加工におすすめです。

熟練の技を再現する高度なCNC自動制御により、円錐や多段曲げなどの複雑な形状も自動化。作業者のスキルに依存せず、常に均一で高精度な仕上がりを維持し、生産効率の大幅な向上に貢献します。
特許取得のワーク接触方式※とインバータ制御、さらにロールたわみ補正機能が、多段曲げでも端部のズレを抑えます。圧倒的な寸法精度と真円度を一発で実現し、手直しや再加工の工数を激減させます。

DAVIの3ロール式可変軸ロールベンダーは、大型・高負荷に対応する複数ギアの駆動システムを搭載。重い負荷をかけても安定した動作が可能で、300mmの特大サイズの部品も加工できます。
頑丈なフレーム構造により、大型・特注形状のプレートや高強度鋼板にも対応可能。高い耐久性が求められる石油・ガス業界での導入実績もあり、高強度な金属部品の加工ニーズに応えます。