ベンディングロールは、2〜4本のロールによって構成されています。この材質に直に接して加工を行うロールを「ワークロール」、この「ワークロール」を支えている補助ロールが「バックアップロール」です。
いくらロールが金属でできているとはいえ、厚板を曲げる場合など大きな押し込み力がかかるとたわんでしまうことがあります。ロールがたわむと、均等な曲げ加工ができなくなったり、ロール自体の寿命が短くなったりするため、これを防ぐためにバックアップロールでロール全体を支えているのです。
バックアップロールでワークロールを支えることで、ロールの変形や「しなり」が原因で生じる反り・巻きバラつき・割れなどを防ぎ、高精度な曲げ加工を実現することができます。毎回安定した加工ができれば、高い品質を維持したまま大量生産が可能。このため曲げ加工を自動化したい大型現場や、航空機器・化学機器など微細なズレも許されない高精度品を製造する現場などにおすすめです。
ワークロールの負担を分散できる点もメリットです。ワークロールの寿命を延ばすことで、買い替えコストや手間を削減することができます。
製品の不良率を下げることも可能。不良と判断されてしまうと、製品を廃棄し、あらためて作業しなくてはなりません。不良率を減らし精度が安定すれば、材料費、人件費、設備費などのコストも削減できるでしょう。
バックアップロールは、圧延機においてワークロールの変形を防ぐために用いられます。特に熱間・冷間圧延の現場では、板材に均一な圧力をかけるうえで欠かせない存在です。ベンディングロールと同様、板厚の精度や加工品質を安定させる重要な役割を担っています。
ベンディングロールをはじめとする各種ロール成形装置において、バックアップロールは安定稼働と高精度加工を支える補助構成として活用されています。素材や加工内容に応じて適切に設計されたバックアップロールは、長期的な設備性能の維持にも貢献します。
バックアップロールは、加工時に生じるワークロールのたわみを抑え、板幅方向の曲げ精度を安定させるための補助ロールです。特に、中厚板や長尺・大型板の加工ではロールに大きな荷重がかかるため、たわみをどのように補正するかが、仕上がりの精度を左右します。
ただし、バックアップロールの構造や制御方法はメーカーによって異なります。加工する板厚・板幅・材質・曲げR・必要精度を整理し、自社の加工条件に適した機種を選びましょう。
ここでは、バックアップロールによるたわみ対策に加えて自動化・高精度加工に強い大同マシナリーと、長尺・大型板の高負荷加工に対応するDAVIを紹介します。
| 選定の目安 | 大同マシナリー | DAVI(ダヴィ) |
|---|---|---|
| 向いている加工 | ~75mmの中厚板、多段曲げ、精度と自動化を重視する加工 | 造船向けの長尺・大型板、複雑な船体形状、高負荷の加工 |
| バックアップロールの特徴 | CNCでたわみ量を演算し、バックアップロールを昇降させて加工前に補正 | アンチデフレクションビームとバックアップロールで長尺ロールを支持 |
| 主な機種 | CNCベンディングロール BSシリーズ | 造船向け可変軸ベンディングロール MAV SHB |
| 選定ポイント | たわみ補正に加えて、板送りや曲げ工程も自動化したい場合 | 12mクラス以上の長尺材で、機械的なロール支持を重視したい場合 |
※加工能力は、材質・板幅・曲げ径などの条件によって変わります。導入時はワーク図面と加工条件をメーカーへ提示し、適合機種をご確認ください。
中厚板や幅広のワークを曲げる際は、加工時の荷重によってロールがたわみ、板幅方向の曲げRにばらつきが生じることがあります。
大同マシナリーのCNCベンディングロールは、ワークの加工条件からロールのたわみ量をCNCで演算し、バックアップロールを昇降させて加工前に補正します。ロールのたわみに合わせて補正量を設定できるため、幅広の中厚板でも板幅全体にわたって均一な曲げRを得やすくなります。
一般的なバックアップロールは、ワークロールを機械的に支えることでたわみを抑えます。大同マシナリーは、それに加えて、加工条件を基にCNCでたわみ量を算出し、バックアップロールの昇降を制御して、加工前に補正する点が特徴です。
板厚や板幅などの加工条件に応じて補正できるため、作業者が経験と勘だけでたわみを調整する負担を軽減できます。繰り返し加工における曲げ精度の安定や、熟練者への依存を抑えたい現場に適しています。
たわみを補正しても、板の送り量がずれると、端曲げや完成後の真円度に影響します。
大同マシナリーは、ワークに直接触れて送り量を測定するメジャーリングロールを採用。板の実際の動きを捉えながら送り量を管理することで、確実性の高い端曲げと真円度の確保を支援します。
バックアップロールによるたわみ補正と、メジャーリングロールによる送り量の測定を組み合わせることで、ロールの変形と板送りのずれという二つの精度低下要因に対応しています。
材質・板厚・板幅・曲げ内径などの条件を入力し、曲げ工程のプログラムを作成できます。ティーチングプレイバックにも対応しており、実際の加工動作を記録して再現することも可能です。
円筒曲げだけでなく、多段曲げや複数Rを含む加工でも、たわみ補正から板送り、ロール位置まで一体的に制御できます。高精度な曲げ加工を自動化し、作業者ごとの仕上がりの差や調整工数を減らしたい場合に適しています。
船首・船尾の外板、隔壁、デッキプレートなどの長尺・大型板では、板幅が広くなるほどロールのたわみが加工精度に影響しやすくなります。特に、重量のある厚板や高張力鋼を曲げる場合は、ロールを支える構造そのものに高い強度が求められます。
DAVIの造船向け可変軸ベンディングロール「MAV SHB」は、アンチデフレクションビームとバックアップロールを組み合わせ、長尺加工時のロールのたわみを補正する機種です。DAVIでは、12mクラス以上の長尺加工を想定した設計として紹介されており、板幅全体の曲げ精度を保つことを重視しています。
長尺のロールは、中央部ほど荷重によるたわみが生じやすくなります。MAV SHBは、ロールをバックアップロールで支えるだけでなく、アンチデフレクションビームを組み合わせることで、長い加工幅にわたるたわみを補正します。
造船用部材など、幅が広く、曲げ精度を板幅全体で安定させる必要があるワークに適した構造です。
MAV SHBは3本のロールを駆動し、重量のある板材や非対称な船舶部材でも板の動きを制御しやすい構成です。上ロールを垂直に動かし、左右のサイドロールを独立して調整できる可変軸方式により、ワークごとにロール間隔を最適化できます。
小さな曲げRや、船首・船尾に用いられる複雑な曲率など、一般的な円筒曲げとは異なる形状にも対応しやすい点が特徴です。
造船向けの専用CNC「iRoll Performance Shipbuilding Edition」を搭載し、複雑な船舶図面に基づく加工を支援します。
バックアップロールと支持ビームによる機械的なたわみ対策に加えて、駆動とCNC制御を含めて長尺・大型部品の加工を計画したい現場に適しています。
~75mmの中厚板で、バックアップロールによるたわみ補正に加えて、板送りや曲げ工程までCNCで自動化したい場合:大同マシナリーのBSシリーズが候補です。
加工条件からたわみ量を演算し、バックアップロールを昇降させて加工前に補正できるため、高精度な曲げ加工の再現性と省力化を重視する現場に適しています。
造船で用いる12mクラス以上の長尺・大型板を対象に、バックアップロールとアンチデフレクションビームでロールを強固に支えたい場合:DAVIのMAV SHBが候補となります。
同じバックアップロールを備えた機種でも、得意とする加工条件やたわみの補正方法は異なります。選定時は、材質、板厚、板幅、最小曲げR、完成形状、月間加工数、必要な寸法公差を整理し、テスト加工や仕様確認を行ったうえで比較しましょう。
曲げ加工は、板厚・材質・曲げ形状によって、ロール構成や駆動方式、制御性能に求められる仕様が異なります。そのため、ベンディングロールの導入では、加工する板の厚みや形状など、曲げたい部品に応じて選定することがポイントです。ここでは、加工対象別に3つのメーカーをご紹介しています。

小型製品の加工に適した80mm〜100mmのロール径です。油圧式による安定した加圧制御で圧力調整がしやすく、押し傷や曲げムラを抑えて外観品質の高い成形が行えます。
下ロールにウレタンを使用しており、柔らかな表面でワークに傷がつくのを防ぎます。特にステンレスなど、傷が目立ちやすい薄板素材を扱う加工におすすめです。

熟練の技を再現する高度なCNC自動制御により、円錐や多段曲げなどの複雑な形状も自動化。作業者のスキルに依存せず、常に均一で高精度な仕上がりを維持し、生産効率の大幅な向上に貢献します。
特許取得のワーク接触方式※とインバータ制御、さらにロールたわみ補正機能が、多段曲げでも端部のズレを抑えます。圧倒的な寸法精度と真円度を一発で実現し、手直しや再加工の工数を激減させます。

DAVIの3ロール式可変軸ロールベンダーは、大型・高負荷に対応する複数ギアの駆動システムを搭載。重い負荷をかけても安定した動作が可能で、300mmの特大サイズの部品も加工できます。
頑丈なフレーム構造により、大型・特注形状のプレートや高強度鋼板にも対応可能。高い耐久性が求められる石油・ガス業界での導入実績もあり、高強度な金属部品の加工ニーズに応えます。