ベンディングロールの導入を検討する際、まず確かめたいのが「自社で曲げたい板が、この機械に入るのか」という点ではないでしょうか。本記事では、カタログに書かれた板厚能力がどのように決まるのか、そして数値を読むときに見落としやすい前提を整理します。
ベンディングロールで曲げられる板厚の上限は、加圧能力・ロール径・板幅の組み合わせで決まります。板材を塑性変形させるには一定以上の力が必要で、その力を生み出す加圧能力と、力を板に伝えるロールの剛性が能力の土台になります。
ここで注意したいのが、カタログに記載された板厚は「この機種で扱える最大値」であって、どんな条件でも常に出せる値ではないという点です。板幅や材質、曲げる位置によって実際に通せる板厚は変わります。カタログの最大値だけを見て機種を決めると、現場に入れてから能力不足が判明するケースが起こり得ます。
メーカーの仕様表を見ると、板厚の欄が「端曲」と「中央」に分かれていることがあります。栗本鐵工所が公開しているベンディングロールの仕様表では、加圧能力25(×9.8kN)の機種で板幅1,500mmのとき、端曲げは6mm、中央曲げは8mmと別の値が示されています※1。同じ関係は加圧能力430(×9.8kN)の機種でも変わらず、板幅2,500mmで端曲げ40mm、中央曲げ43mmです。
板材の先端と後端はロールからの圧力が伝わりにくいため、中央部と同じ条件では曲がりません。円筒製品をつくるうえで端曲げは避けて通れない工程ですから、比較すべきは中央曲げの値ではなく端曲げの値だと考えておくほうが安全です。
板厚能力は、特定の材質を前提に計算された数値です。前述の仕様表には「曲げ能力は降伏点255N/mm2(JIS SS400規格相当品)で計算しています。」と明記されています※1。つまり一般的な軟鋼を基準にした値であり、これより降伏点の高い材料を同じ板厚で曲げようとすれば、必要な力は増えます。
同じ機種でも、対応する板幅によって板厚の値は変わります。先ほどの加圧能力25の機種では、板幅1,500mmで端曲げ6mmだったものが、板幅2,000mmでは端曲げ4.5mmまで下がります※1。板幅が広がるとロールにかかる曲げモーメントが増え、たわみも大きくなるためです。板厚と板幅はセットで確認してください。
カタログ値が軟鋼基準である以上、降伏点の高い材料ほど同じ板厚でもより大きな加圧力を要します。ステンレス鋼や高張力鋼を主力で扱うのであれば、軟鋼基準の最大板厚に対して余裕を持った機種を選ぶ必要があります。どこまで余裕を見るべきかは材質と要求形状で変わるため、実際に扱う鋼種と板厚をメーカーに提示して確認するのが確実です。
曲げを繰り返すうちに材料が硬くなる加工硬化が進むと、加工の後半になるほど必要な力が増していきます。とくに厚板やステンレス材では影響が大きく、初期の1パスは通っても最終パスで狙いどおりに曲がらないことがあります。
アルミなどの軟らかい材料では、加圧力の不足よりもロールとの接触による打痕や擦り傷が問題になりやすい傾向があります。この場合に見るべきはロール表面の仕様やウレタンロールの有無であり、板厚能力とは別の軸での確認が必要です。
板厚とあわせて確認したいのが、どこまで小さく巻けるかという最小曲げ径です。ベンディングロールは板材をロールに沿わせて曲げる機構ですから、仕上がりの内径をトップロールの径より小さくすることは構造上できません。小径の円筒を量産したい場合は、板厚能力よりも先にロール径の確認から入ることになります。具体的な最小径は機種ごとに設定されているため、カタログか個別見積もりで確かめてください。
能力の上限に近い条件で通すと、ロールのたわみによって中央部が膨らんだ形状になったり、送りが滑って寸法がばらついたりします。これらは機械の故障ではなく、能力と加工条件が釣り合っていないことのあらわれです。
限界付近の加工では、1回で狙いの形状まで持っていこうとせず、パス回数を増やして少しずつ曲率を上げる進め方が有効です。段取りの時間は増えますが、材料への負荷が分散し、仕上がりの安定につながります。日常的にこの運用が必要になるようであれば、機械側の能力が要求に対して不足しているサインと捉えるべきでしょう。
機種選定の相談をする際は、材質・板厚・板幅・仕上がりの内径・端曲げの要否の5項目を整理しておくと話が早く進みます。とくに端曲げの要否は前述のとおり必要能力を左右するため、伝え漏れると見積もり後に条件が変わることになります。加工したい製品の図面があれば、あわせて提示すると認識のずれを防げます。
要求仕様が標準ラインナップの上限を超える場合でも、選択肢がなくなるわけではありません。前述の栗本鐵工所は、標準仕様表の最大が板厚43mmである一方、「製作は板厚110mm、板幅8mまで実績があります。」と公表しています※1。標準機の上限と製作できる上限は別ですので、厚板や長尺の要求がある場合は個別に相談する価値があります。
薄板の量産を得意とするメーカーもあれば、厚板や高強度材の構造部材を主戦場とするメーカーもあります。設備投資の判断で重視される項目を調べた調査では、価格が83.5%、精度が63.2%と続いており※2、価格だけでなく求める精度が出せるかどうかも判断材料になっていることがうかがえます。
ベンディングロールの板厚能力は、加圧能力・ロール径・板幅で決まり、カタログの数値は軟鋼を基準に、板幅ごと、端曲げと中央曲げごとに設定されています。自社のワークと突き合わせるときは、最大板厚の一点だけでなく、実際に使う板幅と端曲げの条件で読み替えることが欠かせません。
要求する板厚や材質が現有設備の能力を超えている場合は、加工条件の工夫で凌ぐか、能力に余裕のある機種へ更新するかの判断になります。
曲げ加工は、板厚・材質・曲げ形状によって、ロール構成や駆動方式、制御性能に求められる仕様が異なります。そのため、ベンディングロールの導入では、加工する板の厚みや形状など、曲げたい部品に応じて選定することがポイントです。ここでは、加工対象別に3つのメーカーをご紹介しています。

小型製品の加工に適した80mm〜100mmのロール径です。油圧式による安定した加圧制御で圧力調整がしやすく、押し傷や曲げムラを抑えて外観品質の高い成形が行えます。
下ロールにウレタンを使用しており、柔らかな表面でワークに傷がつくのを防ぎます。特にステンレスなど、傷が目立ちやすい薄板素材を扱う加工におすすめです。

熟練の技を再現する高度なCNC自動制御により、円錐や多段曲げなどの複雑な形状も自動化。作業者のスキルに依存せず、常に均一で高精度な仕上がりを維持し、生産効率の大幅な向上に貢献します。
特許取得のワーク接触方式※とインバータ制御、さらにロールたわみ補正機能が、多段曲げでも端部のズレを抑えます。圧倒的な寸法精度と真円度を一発で実現し、手直しや再加工の工数を激減させます。

DAVIの3ロール式可変軸ロールベンダーは、大型・高負荷に対応する複数ギアの駆動システムを搭載。重い負荷をかけても安定した動作が可能で、300mmの特大サイズの部品も加工できます。
頑丈なフレーム構造により、大型・特注形状のプレートや高強度鋼板にも対応可能。高い耐久性が求められる石油・ガス業界での導入実績もあり、高強度な金属部品の加工ニーズに応えます。